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美しい町並み それは住む人の誇りである
古い街ロ−テンブルク、そこは慌ただしい現実を忘れさせてくれる心休まる所だった。
15年前、私達は永年勤続の記念旅行の目的地としてロマンチックシュトラ−セを選んだ。
フランクフルトからハイデルベルク、ロ−テンブルクへと街道の古い街を見ながら旅を
した。そしてドイツで最も美しい街並みが保存されているローテンブルグの古いホテルに
2泊した。そのホテルは古いけれども良く手入れが行き届いた室内、廊下の古い飾り物、
そして、ベッドカバ−、シ−ツ類も新しくはないけれど手入れが行き届いてとても気持ち
がよかった。ドイツの精神(良い物を大切にする) が隅々まで感じられた。
ロ−テンブルグの城壁の内側は直径2kmくらいのほぼ円形に近い街並みで、徒歩でも一
時間あれば殆ど見物できるくらいの小さな街だ。赤い屋根、窓には花が飾られて心憎いま
でに演出された美しい街の中を歩いていると、自分が中世のゆったりとした時間の中にい
るかのような錯覚に陥った。街を歩いている人もほとんどが観光客で、季節のためか人も
多くはなく、街が静かに息をしているという感じだった。
しかしこの街の歴史を知ると、私たちが今味わっているようなロマンチックなどとは縁
遠いものだ。外部から押し寄せる敵からいかにわが国を守るか、という恐れに常に神経を
使っていなければならなかったのだ。生きるために防衛と食物の貯蔵が日常生活のすべて
だったのかもしれない。この堅固な城壁、見張り窓がついたいくつかの出入り門とその塔
、そして屋根裏を食物貯蔵庫とするための急傾斜の高い屋根をみていると、当時の容易で
ない生活が想像できる。
古い建物を保存するためいつもどこかで修復工事が行われているという。どこを歩いて
も昔のままの石畳の道があり、街の中には電柱も電線もテレビのアンテナも、また街には
似合わない派手な広告もなく、それがこの街を美しく保っている要因となっているのだろ
うかと思った。 さすがに世界に誇る観光の古都だと、この徹底ぶりに感心した。
もともと、このロ−テンブルクは1945年3月、大空襲をにあい、現在、美しい姿を
みせている城壁・城門・建物等はすべて壊滅的な打撃を受けたが、市民のなみなみならな
い努力で、今日のロ−テンブルクが復興したのであるという。それは、「我が町」に対す
る強い愛着の精神と市民の誇りが、この町を復活させたのではないかと東山魁夷さんは述
べている。
私たちは一日中ロ−テンブルグの内外を忙しく歩き回ったが心はゆったりと充実した豊
かな時間を過ごすことが出来た。 かけぬけようとしている人生のある日、もう一度、か
の地をジックリ歩き、すぎこし人生をかみしめてみたいと思う、そんな町、それが、ロ−
ーテンブルクである。
そして、いま須坂の人達は、歴史を刻む美しい町並みを大切に残そうとしている。
みじかなところに、しみじみとした町並みがあり、これを大切にしょうとする人達がいる
ことに共感を感じるとともに、ささやかな声援をお送りしたい。
(H9.5.8.SS記念日)